先日の雁坂峠での経験から、再度リスクとハイキングに対する向き合い方を見直す気持ちになりました。事故に関する書籍を購入して読んでいます。ハイキング、登山にたいする考え方を改めました。
目次
”羽根田治著 山はおそろしい”
”無知が怖い”
本書のエピソード ”無知が怖い” 厳冬の富士登山は衝撃的でした。YouTubeで厳冬下の富士登山動画は見たことがあります。風と氷の厳しい環境だと思っていたのですが本書を読むとその状況がリアルに伝わってきます。
富士山の標高3000mで風速30m、気温零下15℃でつくられたアイスバーンはあまりに固く、対策として鋭く研いだクロモリのアイゼンの刃が立たず、刺さる場所を探さないといけないと聞いてぞっとしました。一歩一歩足場を変えるたびにです。あのアイゼンの刃が立たないほど硬いなど、動画を見ただけではわかりませんでした。
パーティーは男性二人で自分たちの実力を客観的に判断できる知識と技術があり、綿密な計画をたてる技術と心構えを持っています。厳しい状況下で的確に撤退の判断を下しました。これだけなら私には技術も判断力もないので単に登れないだろうなと思うのみで心は動かなかったと思います。が、恐ろしいのはここからです。このパーティは撤退決断の下山時に軽装の登山者に遭遇します。
この状況で軽装ってどういうこと?。アイゼンもピッケルも持たない人って何者?
その人は死にかかってるっていう自覚がありません。軽装でここまでこれたのは奇跡的だけど、進めずもどれずこのままでは凍死するか意識を失えば小売りの上を滑落する状況。そんな中でも本人は死にかかってると気づいていません。見つけた二人はこの人なんで生きてられるんだろうと思ったと話しています。
ここからこの二人はこの無謀な登山者を助けるという行動をします。自分たちの命でさえ危険な状況下にさらされているのを自覚したうえで、このままにはしておけないと。ダウンを貸与え、食料を分与え、レスキューを依頼し、安全確保しながら下山させようとします。
なんということでしょう。私が同じ状況に遭遇することは想像しにくいですが、自分がリスクを感じて下山で必死になっている状況を想定するととてもそんな余裕はありません。
この事例で感じたことは、ちゃんと技術の意味を理解して(もしくは教育されて)登山を経験してきた人とそうでない現在の私のようなレベルの人間は比較になりません。私のようにハイキングを始めて、ネット情報だけで、誰にも教えてもらうことなく過ごしてきたメンタリティはむしろ救助された”軽装の登山者”のメンタリティに近いと思います。恥ずかしいですがそれが事実です。それぐらい登山者としてあるべき姿に対するイメージがありませんでした。
私はこのように相手のスキルで助けられても、自分のリスクをとって助ける力はないと思います。技術的、体力的、精神的にそのレベルには到底追いつけない。少なくともそのことは自覚して謙虚であるべきだと思いました。そのうえでその時で技術のない自分にできることをするという準備しておきたいと思います。
これ、私はそんなにリスクのあるところにはいかないから技術やこころがまえなんて関係ないと思いがちです。次のエピソードは普通のハイキングでも起こるリスクに気づかせてくれますが、技術はさておいて心構えは大切だと思います。自然を相手にする活動だからです。
“人間が怖い”
“人間が怖い”というエピソードでは、一定の経験を積んできた二人パーティが冬季西穂高独標に挑戦した時に遭遇しました。独標からの厳しい下りの岩場で上から落ちたた別の人に跳ね飛ばされがけ下に転落します。
西穂高独標のアクセスのしやすさから初心者でも可能とされていること、しかし一方で独標はその最後の独標付近の岩と雪は決して初心者向きではないという特性について説明されています。
ここで私はそうした客観的な西穂高独標の特性とは別に、どの山でも起こりうる状況であり普段よく行く丹沢でさえこうしたことが起こる可能性のある場所はすぐに思いつきました。
最近、転ぶまではいきませんがよろけることはよくあります。また、注意はしていますが石をけってころがしてしまうこともあります。特に下山時、疲れてきていると集中も散漫になる自分を感じます。そうした時に人に危害を与えることになるかもしれないという恐ろしさを感じました。
その時の状況で自分に何ができるかはわかりません。事前に準備できることの一つは保険です。
保険の見直し
現在、自分が遭難した時の費用補填するための山岳保険に入っていますが、個人賠償責任保証ははいっていません。このエピソードに象徴される他人を巻きこむような事故が発生した場合の方が桁違いにおおきな代償が必要となります。
個人賠償責任保険は自動車保険のオプションにつけていますが、日常生活上の保障とされていて、自転車運転などはカバーされます。一方でレジャーとして行っている登山中の事故は保証が降りない可能性がありそうだと判断しました。
もし起こしてしまった場合、やむを得ない状況だったとしても責任を問われることもあります。払えないでは被害を受けた相手にすみませんし、自分や娘の生活にも支障が発生します。
確実に支払われる山岳保険の個人賠償責任保険にはいることにしました。
現在JROのみに加入しています。個人賠償責任保険とここヘリがペアなのでこちらにしました。娘の分はどうすべきか迷いましたが、一応JROのみのままにして、活動時にまた考えることにしました。